【実体験】目の前のパワハラを見て見ぬ振りした結末|悲劇を招かないために周囲の人にできること
みなさんはパワハラ(パワーハラスメント)を受けたことがありますか?
パワハラを受けている同僚を見たことがありますか?
私は自らパワハラを受けたことは無いと思っていますし、
部下や同僚に対してそのような行動を取ったことは無いと自負しています。
しかしながら、目の前でパワハラを受けている人はいました。
そして見て見ぬ振りをしていました。
見て見ぬふりをした時点で「同罪」、「パワハラと同じ」という批判があると思います。
私は見て見ぬ振りをしたことを10年以上経った今でも後悔していますし、自分にできることはなかったのかとふと夜眠る前に考えたりすることがいまだにあります。
本記事では私の実体験に基づき、パワハラを見て見ぬ振りした結果生じてしまった悲劇を、そして同じ悲劇を繰り返さないために周囲の人が出来ることについて詳しくお話します。
パワーハラスメントの定義

パワーハラスメント(パワハラ)は、職場における権力関係を背景にした嫌がらせ行為であり、被害者に対して精神的・身体的な苦痛を与え、職場環境を悪化させる行為を指します。具体的な定義としては以下の要素が含まれます。
- 優位性を背景にした行為:上司が部下に対して行う場合が多いが、同僚間や部下から上司へのケースも含まれる。
- 職務上の適性な範囲を超えた行為:業務指導や教育といった職務上の行為を超えた必要以上の叱責や無視、過剰な業務負担など。
- 精神的/身体的苦痛を与える行為:精神的な苦痛を伴う言葉や行動、身体的な暴力、無視や隔離など。
- 身体的な攻撃:暴力や暴行、威圧的な態度
- 精神的な攻撃:人格否定、侮辱、脅迫的な言動
- 過大な要求:過剰な仕事量や達成不可能な目標の押し付け
- 過小な要求:意図的に簡単すぎる業務を与える、能力を無視した軽視
- 人間関係からの切り離し:無視、孤立させる行為
- 個の侵害:プライバシーの侵害、家庭環境や私生活への干渉
実体験|私がパワハラを見て見ぬ振りした結末
※下記内容について、個人・団体を特定出来ないよう配慮して内容を記載しております。
私が転職して入社した会社で直属の上司となった営業主任のAさん(40代前半)は、物腰しが柔らかくおっとりとした性格で業務のことで質問しても嫌な顔一つせず問題解決まで細かく指導してくれる上司でした。
入社して1年程経過したある日、部署の部長が定年退職を迎えて新たに営業主任Bさん(40代前半)が飛び級で部長に昇格しました。
(※Bさんは親会社から転籍してきていた営業マン。それまでは売上を作るのが上手い、スキルが高く特段有害であるという面は見受けられませんでしたが、理詰めで会話をするタイプで少し癖のある人ではありました。)
部長になったBさんは、長年続いていた既存の非効率な業務内容の改善に取り組み出しました。
(具体的には、顧客への営業手法(アプローチの統一化など)、見積書作成の簡略化、受注案件のデータ化など)
私は見積書作成の簡略化や受注案件のデータ化などは業務を円滑に進められるシステムだった為、良い施策だったと今でも思います。
しかしながら、顧客への営業手法・アプローチの統一化については今でも間違いだったと感じています。
利益率を高める為、販売時の最低利益率を設定し得意先に対して値上げ要求を実施。値上げ要求に応じない得意先には販売しないという態度で臨むように各営業マンに指示が出ました。値上げ交渉はは各担当が行う。顧客に難色を示されたとしても部長Bさんは同行せずに各担当者が完結させる。
この施策が私が間違いだと感じた点であり、このかなり強引な営業手法への改革が、Aさんを追い込んでいくことになります。
Aさんが抱えていた得意先はロット(製品の数量)を多く購入する先が多く、その代わりに販売単価が他より安く利益率が低い傾向がありました。
その得意先に対しても同様の対応を取るようにと指示をだしていましたが、当然ながら交渉自体成立するものではありませんでした。
結果に対してBさんは決して大声をあげて恫喝したり、叱責をしているわけではありませんでしたが、「なぜ価格を上げれないのか?」、「強い態度で顧客に交渉しているのか?」、「できない理由はなぜ?」という形で毎日のように事務所にいる時間は問い詰められている姿を見るようになりました。
そのような状況が続きBさんが事務所にいる時間はAさん自身の内勤業務の時間が削られるようになり、必然的にBさんの退社後に自分の業務を行うようになってしまうことから残業時間が膨れ上がりました。
Aさんは次第に笑顔を失い、気力も無く、出社するのが辛そうでした。その状況を見ていた私を含めた同僚たちは、「親会社の人間だから逆らえない」、「自分も同じ目にあうのでは」という不安から誰も声を上げる勇気がありませんでした。
そんな折に得意先同士の横のつながりがありAさんと同行営業をする機会があり移動の車中で2人きりで話しをする機会があり、当時の会話を今でも鮮明に覚えています。

Aさん。最近つらくないですか?

正直しんどいね。自分なりにどうにかしようと思ってるんだけど…僕にBさんみたいな営業能力無いからね。なんとも…

いっそのこと会社辞めて転職したらエエんちゃいます?

何回かBさんには相談したんよ。
でも「今の仕事から逃げるような人間が入れる会社なんか無いし、今の人員で辞められたら業務が回らなくなるから全員に迷惑が掛かる。きっちり交渉をやり終えたら検討するよ」って言われて。その通りだなって…

もうすぐ40代後半だし、それに息子がもうすぐ大学受験だからお金も掛かるし。もし転職がうまくいかなかったらと考えると踏み出せなくてね…

その時の私は適格なアドバイスが出来るほど当時の転職市場の状況を把握していなかったためAさんの話しを聞いただけで終わってしまいました。
Aさんの悩みを聞いたからといって社内で声を挙げられたかというと自発的に行動を取ることは出来ませんでした。
そして数ヵ月が経ったある月曜日、Aさんが連絡無く出社しない日がありました。
Bさんは心配する素振りも無くそのまま朝礼を始め普段通り業務に入っていきました。
私を含めた同僚社員たちは違和感と不安を感じながらその日を過ごし、翌日再びAさんは会社に出社しなかったのと同時にAさんのご家族から会社に「昨日Aが家に帰っていないのですが、会社にいますか?」と連絡が入りAさんが失踪したという事実が判明しました。
その2週間後。Aさんは自身の実家近くで自ら命を絶っているのをご家族が発見するという最悪の結末になりました。
この時にBさんは一言「忙しいのに問題起こさないでほしいよ」と一言吐き捨てて、社長に呼び出されて出ていきました。
その後Aさんの遺書と私たち部署内の社員の証言と残業時間の記録等からパワハラがあったことと過重労働が認められ労災認定されました。
会社の上層部はBさんを守ろうとする動き、そして起きたことを無かったことにしようとしてる姿を見せられて会社に対して不信感しか抱くことが出来ず、もうこの会社では働いていけないという思いにさせられました。
私たちが当時所属していたメンバーはAさんの担当先への対応等を分担して行い、会社として落ち着いたところで当時のメンバーは半数以上退職しました。
10年以上経った今思うことは…
周囲で働く私たちがもっと早く何らかの行動を起こしていれば、Aさんの苦しみを和らげることができたかもしれない、結果が変わっていたのではないかと後悔し続けています。
メディアでもパワハラが原因で自ら命を絶った方のニュースが出るとこれ以上パワハラで自ら命を絶つ人が出てほしくないという想いにさせらます。
つらい時は相談窓口へ:まもろうよこころ相談窓口(厚生労働省)
だからこそ今言えることは、
パワハラでつらい思いをしてる方は迷わず逃げてください。
会社を辞めてください。
会社や同僚に迷惑が掛かるかもしれませんが、あなたに迷惑は掛かりません。
何を言われても辞めるべきです。
「楽になりたい」、「いなくなりたい」と思わず違う道を模索してください。

そして周囲の人へ。
見て見ぬ振りはしないでください。
見て見ぬ振りをしていた人間が偉そうにと批判されるかもしれませんが、それでも行動せずに最悪の結果を招くと一生後悔することになります。
令和になった現在は、当時よりハラスメントに対して世間が敏感になっていることもあり、声を挙げやすくなっていると思います。
パワハラの被害を防ぐためには、周囲の人々が積極的に行動することが求められます。
見て見ぬ振りをせず、勇気を持って声を上げることで、被害者を救うことができるかもしれません。
パワハラがもたらす影響
パワハラが被害者に与える影響は計り知れません。
具体的には以下のような影響が考えられます。
- 精神的健康の悪化…うつ病や不安障害、ストレスによる身体的症状など
- 仕事のパフォーマンス低下…集中力の低下、ミスの増加、モチベーションの喪失
- 人間関係の悪化…職場内での孤立感、信頼関係の崩壊
- 最悪のケースでは自殺…深刻な精神的ダメージが続くと自ら命を落とす選択をする人も
悲劇を招かないために周囲が出来ること
パワハラを未然に防ぎ、悲劇を招かないためには周囲の人々の協力が不可欠です。
具体的には以下のことが重要です。
- 早期発見と声掛け…パワハラの兆候を見逃さないこと。被害者に対して「大丈夫?」と声を掛けるだけでも大きな助けになります。
- 上司や人事部への報告…パワハラが発覚した場合、適切な機関に報告し、迅速な対応を求めることが重要です。
- 匿名の相談窓口の利用…会社内の相談窓口や外部の専門機関を利用することで被害者をサポートします。
パワハラを防ぐための法的な位置づけ
日本では、労働施策総合推進法の改正により、パワハラ防止のための措置が企業に義務付けられています。企業は、以下のような義務を負います。
- 防止策の策定と実施…パワハラ防止の為の方針やガイドラインの策定、従業員への教育
- 相談窓口の設置…パワハラに関する相談窓口を設置し、適切に対応する
- 迅速な対応…パワハラの報告があった場合、速やかに調査し適切な対応を行う。
企業はパワハラに対する施策を義務付けられていますが、
厚生労働省の統計調査では社員数99人以下の企業では11%がパワハラに対する予防や取り組みを何も実施していないという結果もあり、企業側だけではなくパワハラを受けている周囲の人が見て見ぬ振りをせずに声を挙げて手助けすることが何よりも重要になってくると思います。
参考資料:職場のハラスメントに関する実態調査について令和5年度報告書より(厚生労働省)
まとめ
パワハラは職場での深刻な問題です。
その被害を防ぐためには、周囲の人々が積極的に行動することが求められます。見て見ぬ振りをせず、勇気を持って声を上げることで、被害者を救うことができるかもしれません。
今回の実体験を通じて、一人ひとりがパワハラに対して敏感になり、早期に対策を講じることの重要性を改めて感じました。
パワハラを受けている人がいる職場では周囲の人の行動が、職場の環境をより良くし、悲劇を未然に防ぐ一助となることを願っています。

